緩和ケア
生命を脅かす疾患による問題に直面している患者様とそのご家族様に対して、QOL（Quality of Life：生活の質） を改善するアプローチです。緩和ケアは、痛みや不快な症状を和らげるだけでなく、心理的なサポートやご家族様の負担軽減なども行います。緩和ケアは、治療とは異なり、病気を治すことを目的としていませんが、病気の進行を遅らせたり、生命を延ばす治療と並行して行うこともできます。
ご家族様が緩和ケアを受けることで、患者様との時間を大切に過ごすことができます。また、ご家族様が安心して看病できるように、緩和ケアチームが患者様やそのご家族様をサポートします。
- がんなどの悪性疾患やその他のご病気で、気になる症状、つらい症状がおありになる方
- がんによる症状や治療による副作用でお困りの方
- これからの治療/療養についてお悩みの方、つらい気持ちをお持ちの方
- 治療と同時にご自身の生活や大切な家族との関わりにお悩みの方
- 大切なご家族様やご友人を亡くされ悩まれている方
原疾患の治療（例えば積極的な抗がん治療や手術）は行えないため、治療中の方はかかりつけ医療機関との繋がりは必要ですが、ご本人様の耐え難い苦痛に対し対症療法のご提案や丁寧にお話をお伺いしながら主治医や地域の医療職と連携して症状緩和や負担軽減に努めます。
また患者様ご本人様だけでなく、大切な方の苦悩や不幸にケアする方々（ご家族様やご友人様など）も悲嘆（グリーフ）を抱えます。
体調不良や不眠等、ケアする方々の心や身体のつらさやストレス、悲嘆軽減にお役に立ちたいと考えています。
緩和ケアや訪問診療は完全予約制で、事前の準備が必要です。
人生会議（アドバンス・ケア・プランニング）
緩和ケアは、患者様の希望や価値観を尊重し、ご家族様が納得できるように進められます。人生会議は、患者様が望む医療やケアを確実に受けることができるように、自分の治療や医療ケアについての意思決定を事前に計画し、それをご家族様や医療従事者と共有する取り組みです。これは、生命を脅かす疾患に対処するための計画を立てることを意味します。
人生会議は誰にでも必要な取り組みです。たとえ健康な人であっても、いつもどおりの日常から急に入院することになったり、災害時などの緊急事態が発生した場合に備え、事前に計画を立てておくことが望ましいです。
人生会議の具体的なステップ
- 自分の医療について、大切にしている価値観や信念を考える。
- 望む医療やケアについて医療従事者と話し合う。
- 事前指示書 (アドバンスディレクティブ）※1を作成する。
- ご家族様や医療従事者と事前指示書を共有する。
※1：将来自らが判断能力を失った際、自分に行われる医療ケアに対する意向を、
事前に意思表示するための文書